Monthly Selection12月にお届けするワイン
Champagne Drappier
シャンパーニュ Drappier
Cart d'or
カルト ドール
Drappierは、シャンパーニュの生産地としては南端の、オーヴ県ウルヴィル村に醸造所を構える。12世紀にシルタシアン派の僧侶達によって築かれた、地下セラーは現在も瓶熟庫として使われており、当時からこの地でワイン造りが行われていたことが分かる。1808年よりシャンパン造りを始めたDrappierは、現当主ミッシェルで8代目。他の大手メゾンとは異なり、現在まで常に家族経営を続けている。
所有する53haの畑では、1989年から一切の農薬を使用しない有機栽培を実践している。きっかけは長女シャルリーヌ(写真)の誕生だ。有機栽培の導入への道のりは簡単ではなかった。合成肥料から堆肥への切り替え、農薬を使わないことによる病気、害虫被害が増えて、一時は30%も収量は落ち込んだと言う。しかし、この土地の可能性を信じてミッシェルは努力を重ねた。結果として一切の農薬を排除しながらも、より良質のブドウを収穫できるようになった。『ブドウ樹畑の見栄えは依然よりも悪くなった。でもそれが本来の姿だった』とミッシェル。
ウルヴィル周辺はおよそ1億4千万年前のジュラ紀の石灰石土壌が広がる。ブルゴーニュから伝来したピノ ノワールに最適な土壌で、ゆえにDrappierはスタンダードラインからすべてのキュヴェで、ピノ ノワールが主体となっている。またドサージュの少なさもDrappierの特徴。いわゆる“門出のリキュール”は、シャンパーニュの味わいに大きな影響を与える。各メゾンが最も気を使う工程の一つであるが、Drappierはどの銘柄においてもドサージュの量は非常に少ない。
Cart d’or
カルト ドール
ドラピエのメゾンカラーをエチケットに使っている、フラッグシップ的なキュヴェ。コート デ バールの個性を最大限に引き出す事を目的にし、ピノ ノワールの比率を年々高めている。自然酵母で2週間低温で発酵。5%だけ木樽で熟成させることで複雑味を与えている。ドサージュ7g/L。
シャンパーニュは冷蔵庫で良く冷やすこと!冷えが甘かったり、直前に乱暴に扱うと開栓時にシャンパーニュが噴き出す確率が増します。
果実味が豊かで優しい味わい。ピンチョス、ハムのゼリーよせ、クリームを使ったお料理やパスタ、デザート、フルーツなど、食前から食後まで幅広く楽しめる秀逸な一本!
Domaine de la Pinte
ドメーヌ ドゥ ラ パント
Arbois Chardonnay Ouillé 2018
アルボア シャルドネ ウイエ
創業は1952年。Vin Jauneの歴史を後世に残すことを目的にロジャー マルタンと当時の村長マルセル プゥによって設立された。現在も残っている”La Capitaine”など20haを購入しスタートした。当初はVin Jauneのみ造る計画だったので、栽培はサヴァニャンがほとんどだったが、サヴァニャンは遅霜の被害を受けやすく生産量が不安定の為、他の品種も増やし、ようやく1959年に初めてのワインが造られた。
当時からのモットーが Plante beau, Cueille bon, et Pinte bien(美しい畑を作り、良いブドウだけを得て美味しく飲もう)だ。1999 年から近所の『ステファン ティソ』と共に有機栽培に切り替え、シリカ等の調剤も使い始める。更にコンポストや調剤も自家製に切り替えていく。2009 年にはビオディナミへ転換した。
現在の栽培責任者は、サミュエル ベーガー(写真左)が栽培・醸造責任者に就任。ボールナールで働いていた、ラウラ(右)と共に伝統の継承と革新に取り組んでいる。
Arbois “Chardonnay” (Ouillé) 2018
アルボア シャルドネ ウイエ
今月のピックアップワイン オンラインワインサークルでテースティングします
粘土石灰土壌のシャルドネのミネラル感を活かしたキュヴェ。手作業で収穫。18時間デブルバージュ後、野性酵母のみで発酵。セラー内の一番寒い場所で発酵。マロラクティックから50HLの 樽に入れて、その後も、ゆっくり1年程度かけて発酵を続ける。翌年6月にボトリング。
とても重厚かつリッチで複雑なワイン。上質なキノコのフリカッセ、鶏のクリーム煮、グラタン、チーズなど、土を感じる食材や、乳製品を使ったお料理と◎ 12℃前後で飲みはじめその後室温で。グラスはブルゴーニュグラスで!
※とてもいいワインですので、テースティング時は、ワインのテースティング程度に留め、後日ゆっくりお食事と楽しんで頂きたいです。
開栓後冷蔵庫保管であれば1週間は持ちます。
Château Ste-Anne
シャトー サンタンヌ
Côtes de Provence 2015
コート ド プロヴァンス
フランスのVin natureの歴史を遡ると最終的に辿り着くのが「シャトー サンタンヌ」。その歴史は16世紀にまでさかのぼる。
5代目の「フランソワ」と「マルキ デュテュイル ラ ロ シェール」夫妻がVin natureの 開祖「ジュール ショヴェ」氏に学んだのは 1970 年代のこと。
ショヴェ氏は農化学者で、化学で微生物が死滅することを良しとしなかった。当時、政府が農薬を推奨していた農薬に疑問を持つ人は 皆無。農薬によって飛躍的に農業の生産性が上がった時代、ショヴェに賛同していたのはピエール オヴェルノワ、マルセル ラピエールだけだった。マルセルの家に集い、自然なワイン造りへの回帰を実践する為に意見を交わし合った。『デュテュイル家』と『ラピエール家』は、それ以降40年以上の長い付き合いだ。そしてVin natureの歴史は正にここから始まった。
ムールヴェードルの最適地、地中海岸沿いから内陸に向けて続くAOCバンドールの村の中でも、サンタンヌが位置するのは内陸寄りの「エヴノ村」、バンドールで最も冷涼な地域となる。石灰質の層に帯状に砂が混ざる痩せた土壌は非常に水はけが良くブドウ栽培に適している。
品種由来の強いタンニンは収穫期が遅いと成熟し甘さを感じさせる。収穫が早いと青いタンニンが残り、ワインはアグレッシヴなタンニンに支配されてしまう。
バンドールはアルコール度数が15%を超えることが多いが、サンタンヌのワインは常に13%前後と低めのアルコール度数。ブドウを必要以上に過熟させない、醸造中も無理な抽出はしないことで、バンドールというより自分達の土地の味わいを目指している。
Côtes de Provence 2015
コート ド プロヴァンス
25%ムールヴェードル、25%グルナッシュ・ノワール、25%カリニャン、25%サンソー。バンドールの畑の一部だが平野部なのでバンドールには使わずにコート ド プロヴァンスにしている。醸造自体はバンドールと同じ。畑では一切の化学薬品は使用しない。
果実味たっぷり、タンニンも豊かなワイン。仔羊肉のグリルや煮込み、クスクス、キジや鳩、野鴨などのジビエ料理に合わせて◎
12℃前後から飲み始めてその後は室温で。グラスも大き目なものがおススメです!